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保有しているとき(不動産所得等)の税金

消費税

消費税の課税の仕組み

消費税は、消費一般に広く公平に課税する間接税です。消費税の課税対象は、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡、貸付及び役務の提供です。
消費税は、事業者に負担を求めるものではなく、事業者が販売する商品やサービスの価格に含まれて次々と転嫁され、最終的に商品を消費し、又はサービスの提供を受ける消費者が負担します。

◆税率

消費税の税率は、7.8%。このほか地方消費税が2.2%(消費税額の22/78)課税されますから、あわせた税率は10%となります(2019年[令和元年]10月1日以後)。

※一定の経過措置及び食品等の軽減税率があります

◆納税義務者

納税義務者は、個人事業者と法人です。
ただし、すべての個人事業者および法人が納税義務者となるわけではありません。事業者のうち、「課税事業者」が納税義務者となります。課税事業者とは下記「免税事業者」以外の事業者をいいます。

◆免税事業者

免税事業者とは「基準期間」における「課税売上高」が1,000万円以下である事業者をいいます。「基準期間」とは個人は前々年、法人は前々期をいいます。消費税を納めることになる課税事業者と、その消費税が免除される免税事業者のいずれにあたるかは、以下のように判定されます。

〈個人事業者の場合〉

前々年(2年前)の課税売上高が1,000万円超………課税事業者

前々年(2年前)の課税売上高が1,000万円以下……免税事業者

〈法人の場合〉

前々期(2年前の事業年度)の課税売上高が1,000万円超………課税事業者

前々期(2年前の事業年度)の課税売上高が1,000万円以下……免税事業者

個人事業者の場合は2013年(平成25年)分、法人の場合は2013年(平成25年)1月1日以後開始事業年度については上記判定のほか、以下の判定が加わっています。

〈個人事業者の場合〉

前年の1月1日から6月30日までの期間の課税売上高及び給与等支払額の合計額が1,000万円超……課税事業者

〈法人の場合〉

前期の事業年度開始の日以後6ヶ月の期間の課税売上高及び給与等支払額の合計額が1,000万円超…課税事業者

基準期間における課税売上高が 1,000 万円以下であっても、「適格請求書(インボイス)発行事業者」の登録を受けている場合には、納税義務は免除されません。

◆納付税額の計算

納付税額は、次の算式により計算します。

〈国税の消費税(7.8%)の計算〉

①消費税額=課税売上高×7.8%-課税仕入高×7.8%

〈地方消費税(2.2%)の計算〉

②地方消費税額=①消費税額×22/78

〈納付税額の計算〉

③納付税額=①消費税額+②地方消費税額

◆簡易課税制度

課税売上の少ない事業者については消費税計算の便宜を考慮して簡易課税制度が設けられています。

〈適用要件〉

次の二つの要件の全てを満たす事業者

(1) 課税事業者の基準期間における課税売上高が5,000万円以下であること

(2)「消費税簡易課税制度選択届出書」を事前に所轄税務署に提出していること

〈計算方法〉

納付すべき消費税額=課税売上げに係る消費税額-

課税売上げに係る消費税額×みなし仕入率(40%)(注)

 

(課税仕入れに係る消費税額)

(注)簡易課税制度の不動産業のみなし仕入率は、次のとおりです。他の事業は→こちらをご参照ください。

不動産業

〈事業区分〉

第6種事業

〈みなし仕入れ率〉

40%

課税の対象

消費税の課税対象は、以下の要件をすべて満たす取引となります。

  • 国内において行うもの(国内取引)であること
  • 事業者が事業として行うものであること
  • 対価を得て行うものであること
  • 資産の譲渡、資産の貸付、役務の提供であること

◆国内において行うものとは

消費税は国内取引に対して課税されます。
資産の譲渡等が国内で行われたかどうかは、その取引が資産の譲渡又は資産の貸付である場合には、その譲渡又は貸付が行われる時においてその譲渡又は貸付の対象とした資産の所在していた場所が、また、役務の提供である場合には、その役務の提供が行われた場所が、それぞれ国内であるかどうかによって判定することとなります。

◆事業者が事業として行うものであること

事業者が事業として行う取引を課税対象とします。

事 業 者 事  業
  • 個人事業者(事業を行う個人)
  • 法人
対価を得て行われる資産の譲渡等を反復、継続かつ独立して遂行すること

(注)個人事業者の場合は、事業者の立場と消費者の立場とを兼ねていますから、事業者の立場で行う取引が「事業」に該当し、消費者の立場で行う資産の譲渡等は「事業」に該当しません。

◆対価を得て行うものとは

資産の譲渡等に対して反対給付を受けることをいいます。
したがって、寄附金、補助金のようなものは一般的には資産の譲渡等の対価に該当せず、原則として課税の対象になりません。また、無償の取引や剰余金の配当、宝くじの当選金等も同様に課税対象になりません。

◆資産の譲渡、資産の貸付、役務の提供とは

事業として有償で行われる商品や製品などの販売、資産の貸付及びサービスの提供をいいます。

以上の要件のどれかひとつでも満たしていない取引は、消費税の課税対象外です。

非課税取引とは

消費税は、原則として、国内において「事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡や貸付及び役務の提供」ならびに「輸入取引」を課税の対象としています。しかし、これらの取引であっても消費に負担を求める税としての性格から課税の対象としてなじまないものや社会政策的配慮から、課税しない非課税取引が定められています。

非課税取引

  • 土地等の譲渡及び貸付
  • 有価証券等、支払手段等の譲渡
  • 利子、信用保証料、信託報酬、保険料
  • 郵便切手類、印紙等の譲渡
  • 商品券・プリペイドカード等の譲渡
  • 行政手数料等
  • 国際郵便為替等
  • 社会保険医療等
  • 介護保険サービス・社会福祉関連事業・助産
  • 埋葬料・火葬料
  • 一定の身体障害者用物品の譲渡等
  • 一定の学校の入学検定料、入学金、授業料、施設設備費等
  • 教科用図書の譲渡
  • 住宅の貸付
  • 外国為替業務等

消費税還付についての制限

2016年(平成28年)度税制改正では課税事業者が「居住用賃貸建物」を取得して消費税の還付を受ける場合、一定の課税期間中は免税事業者に戻れない、あるいは、簡易課税制度へ変更ができなくなりました。
さらに、2020年(令和2年)度税制改正により、2020年(令和2年)10月1日以後に取得した「居住用賃貸建物」に係る課税仕入れについては、仕入税額控除が適用できないこととなりました。
ただし、「居住用賃貸建物」のうち住宅の貸付の用に供しないことが明らかな部分は、引き続き仕入税額控除の対象となります。

※「居住用賃貸建物」とは、住宅の貸付の用に供しないことが明らかな建物以外の建物であって、税抜対価の額が1,000万円以上のものをいいます。

【主な届出等一覧】

届出が必要な場合 届出書名 提出時期
基準期間又は特定期間における課税売上高等が1,000万円超となった場合 消費税課税事業者届出書 事由が生じた場合、速やかに
基準期間における課税売上高等が1,000万円以下となった場合 消費税の納税義務者でなくなった旨の届出書 事由が生じた場合、速やかに
免税事業者が課税事業者になることを選択しようとするとき 消費税課税事業者選択届出書 適用を受けようとする課税期間初日の前日まで
課税事業者を選択していた事業者が免税事業者に戻ろうとするとき 消費税課税事業者選択不適用届出書 免税事業者に戻ろうとする課税期間の初日の前日まで
簡易課税制度を選択しようとするとき 消費税簡易課税制度選択届出書 適用を受けようとする課税期間の初日の前日まで
簡易課税制度の選択をやめようとするとき 消費税簡易課税制度選択不適用届出書 適用をやめようとする課税期間の初日の前日まで

【用語の意義】

課税期間とは

納付すべき消費税の計算の基礎となる期間のことをいいます。原則として、個人事業者は暦年法人は事業年度をいいます。

基準期間とは

課税期間において、消費税の納税義務が免除されるか、簡易課税制度を適用できるかどうかを判断する基準となる期間のことをいいます。
個人事業者についてはその年の前々年、法人についてはその事業年度の前々事業年度をいいます。

2022年(令和4年)
(基準期間)

2023年(令和5年)

2024年(令和6年)
(課税期間)

課税売上
1,000万円超

課税事業者

課税事業者とは次のいずれかを言います。

  • 事業者のうち基準期間の課税売上高、又は特定期間(注)における課税売上高等が1,000万円を超える事業者
  • 上記に該当しない事業者で「消費税課税事業者選択届出書」を提出して、課税事業者となっている事業者
  • 適格請求書発行事業者登録をした事業者

(注)特定期間とは、個人事業者の場合、前年の1月1日から6月30日までの期間をいい、法人の場合、前期の事業開始の日以後6ヶ月の期間をいいます。

インボイス制度とは

適格請求書保存方式(インボイス制度)とは、登録を受けた消費税課税事業者が交付する適格請求書により、消費税の仕入税額控除(課税仕入にかかる消費税の控徐)をできるようにする制度です。消費税の納税義務のある課税事業者は、仕入れ先から適格請求書の発行を受けなければ、仕入税額控除ができなくなります。適格請求書を発行できるのは、登録事業者となった消費税の課税事業者だけです。2023年(令和5年)10月1日から導入された制度です。

【適格請求書の記載事項】

  • 適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
  • 取引年月日
  • 取引内容(軽減税率対象品目の場合はその旨)
  • 税率ごとに区分した対価の額及び適用税率
  • 消費税額等
  • 交付を受ける事業者の氏名又は名称

【経過措置】

  • 2023年(令和5年)10月1日〜2026年(令和8年)9月30日

    免税事業者からの課税仕入れにかかる消費税の80%相当額が仕入税額控除の対象となります。

  • 2026年(令和8年)10月1日〜2029年(令和11年)9月30日

    免税事業者からの課税仕入れにかかる消費税の50%相当額が仕入税額控除の対象となります。

企画・発行

三井不動産リアルティ株式会社

東京都港区霞が関 3-2-5 霞が関ビルディング

https://www.mf-realty.jp/
監修

東京シティ税理士事務所

税理士 山端 康幸

https://www.tokyocity.co.jp/

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