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法人の活用

4.法人と個人の税金上の相違

税金の種類のちがい

個人と法人では、利益に課税される税金に違いがあります。

目的・内容 個 人 法 人
収入(利益)に対する税金 国税 所得税 法人税
地方税 住民税(市民税・県民税) 住民税(市民税・県民税)
事業税 事業税
もらったときの税金 贈与税 法人税
住民税
事業税
遺産を引き継いだときの税金 相続税

経費のちがい

個人と法人では、経費として所得から控除できるものに違いがあります。

  個人事業 法 人
交際費 全額必要経費算入 損金算入限度額あり(注1)
事業主(役員)の給与 必要経費算入が認められない 損金算入できるが制限あり(注2)
事業主(役員)の退職金 必要経費算入が認められない 損金算入できるが制限あり(注3)

(注1)交際費損金算入限度額

期末資本(出資)金額 支出交際費※ 損金不算入額(年額)
1億円以下 800万円以下の部分 0円
800万円超 800万円を超える部分の全額
1億円超 金額に関係なし 支出額全額

※1人あたり10,000円以下の一定の飲食費は除かれます。

交際費のうち飲食のために支出する費用の50%を損金の額に算入できます(資本金等の額が100億円を超える法人は適用除外)。
期末資本金額1億円以下の法人については、上記の取扱いとの選択になります。

(注2)役員報酬
法人では適当と認められる枠内であれば経営者など役員に対して支給した報酬を原則として損金に算入することができます。また、事業に従事している家族を役員にすれば、家族にも役員報酬を支給することができます(役員報酬の損金算入については、一定のルールと限度があります)。

(注3)役員退職金
法人は、退職する役員に対して役員退職金を支給し、その金額を損金に算入できますが、役員退職慰労金規定などを整備しておくことが必要になります。また、不相当に高額な場合は、相当額を超える部分の損金算入が否認されます。

資産の「取得の日」と「譲渡の日」

個人が土地・建物等を取得(譲渡)する場合、「取得(譲渡)の日」は「引渡しを受けた(引渡しをした)日」となります。また「契約効力発生の日」を選択した場合は「契約効力発生の日」とすることができます(※新築で取得の場合は引渡し日のみ)。
法人が土地・建物等を譲渡する場合、「引渡しをした日」が原則です。なお、固定資産である土地・建物等の譲渡については、契約効力発生の日において収益計上を行っている場合、「契約効力発生の日」を「譲渡の日」とすることができます。

法人設立のメリット

1税率が比例税率で累進税率の所得税より低い

個人の所得に対して課される税率と、法人の所得に対して課される税率とを比較します。一般的に、所得が低い段階では個人として事業を行った方が税額が少なくなり、所得が高い段階では法人として事業を行った方が税額が少なくなるといえます。

個人※1・3・5
(表面税率)

所得金額

法人※2・3・4
(表面税率)
15.6%

   100万円

29.4%
15.4%

   200万円

25.9%
17.2%

   300万円

24.7%
21.0%

   400万円

24.1%
23.8%

   500万円

24.3%
25.8%

   600万円

24.4%
27.2%

   700万円

24.5%
28.6%

   800万円

24.5%
29.7%

   900万円

25.9%
31.6%

1,000万円

27.0%
個人※1・3・5
(表面税率)

所得金額

法人※2・3・4
(表面税率)
33.1%

1,100万円

27.9%
34.4%

1,200万円

28.6%
35.5%

1,300万円

29.2%
36.4%

1,400万円

29.8%
37.3%

1,500万円

30.2%
38.0%

1,600万円

30.7%
38.6%

1,700万円

31.0%
39.2%

1,800万円

31.3%
40.0%

1,900万円

31.6%
40.8%

2,000万円

31.9%

※1 所得税・住民税・事業税(不動産貸付業と仮定)の表面税率(所得控除は考慮しておりません)

※2 法人税・住民税・事業税の表面税率

※3 表面税率は地域により異なります。

※4 2023年(令和5年)4月1日以後に開始する各事業年度で資本金等が1千万円以下の法人かつ従業者数が50人以下で東京都の税率を前提としております。

※5 復興特別所得税・復興特別住民税を含みます。

2所得を分散することができる

個人事業ではオーナー1人に所得が集中し、専従者給与として家族などに分散できる金額にも限度があります。会社ではオーナー本人にも給与を支払えるため、給与所得控除分の所得税が軽減されます。また、税率の低い家族に所得を分散することで、全体としての所得税も軽減されます。
ただし、給与等の収入金額が850万円以上の場合には、給与所得控除額の上限は195万円となります。

所得を分散することができる

※所得控除は考慮しておりません。

3経費の範囲が広がる

家事関連費と事業上の経費の区分はとかく問題になりますが、法人の場合は、電話代や水道光熱費などを会社契約で堂々と経費化することができます。個人事業では一切認められない社宅家賃も一定額は損金として認められるほか、年金、健康保険などの社会保険料も半分は会社負担とすることができます。

4給与の幅が広がる

事前届出制の青色事業専従者給与は他の同業の事業者の青色事業専従者給与と比較して給与の額が判断されます。そのため、比較的低い金額になってしまいます。法人の役員報酬はその会社の利益、他の従業員給与、他の同一業種の給与水準等の比較で決めることができるため青色事業専従者給与より自由度が広がります。

5青色欠損金を10年繰り越すことができる

個人・法人ともに青色申告の承認を受ければ、その年(期)に生じた損失を翌年(期)以後に繰り越し、利益との相殺をすることができます。
個人の場合には3年間の繰り越しが認められているのに対し、法人の場合には10年間の繰り越しが認められています。

青色欠損金を7年繰り越すことができる
6会社契約で生命保険・損害保険に加入できる

個人事業の生命保険は経費にできませんが、法人で加入し法人が受取人になるなど一定の条件の生命保険金等は会社の損金に算入することができます。

生命保険契約 保険料の取り扱い 金 額 備 考
個人契約 所得控除の対象 最大12万円 保険の種類によって控除額が決まります。
法人契約 損金算入 主に半額 契約内容によって異なります。
7相続対策となる

②や④の所得の分散効果で、本来のオーナー個人の所得が、法人を通じて家族の給与として支払われることとなります。オーナー個人は金融資産の蓄積を抑制することで相続税の増加を防ぐことができ、それとは逆に家族は金融資産が蓄積することで相続税の支払い財源を確保することになります。

相続税対策となる
企画・発行

三井不動産リアルティ株式会社

東京都港区霞が関 3-2-5 霞が関ビルディング

https://www.mf-realty.jp/
監修

東京シティ税理士事務所

税理士 山端 康幸

https://www.tokyocity.co.jp/

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