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Q&A
保有しているとき(不動産所得等)の税金
不動産所得の計算
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アパートの一室でも一棟でも不動産を貸付けたことによる所得は不動産所得に該当します。この不動産の貸付けが事業的規模で行われているかどうかによって、所得金額の計算において取扱いが異なる場合があります。
不動産の貸付けが事業的規模により行われているかどうかについては、原則として社会通念上事業と称するに至る程度の規模で行われているかどうかによって、実質的に判断します。
ただし、建物の貸付けについては、次のいずれかの基準に当てはまれば、原則として事業として行われているものとしています。 -
- 貸間、アパート等については貸与することのできる独立した室数がおおむね10室以上であること
- 独立家屋の貸付けについてはおおむね5棟以上であること
事業的規模に該当する不動産貸付けとそれ以外の不動産貸付けの所得計算上の相違点としては、主に以下に掲げるものが挙げられます。
事業的規模に該当する不動産貸付け それ以外の不動産貸付け 55万円の青色申告特別控除 利用可 利用不可(10万円控除可) 青色事業専従者給与 利用可 利用不可 固定資産を取壊し・除却したことによる損失額 全額必要経費算入できる
(不動産所得が赤字になった場合は他の所得と損益通算できる)不動産所得の金額までしか必要経費算入できない
(赤字になっても損益通算できない)
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一括購入した場合の土地と建物の価格については、合理的な方法により按分する必要があります。売買価格に消費税額が明記されている場合には、①の方法が合理的であると考えられます。それ以外の場合には、②③の方法が考えられます。①の方法が利用できない場合には、どの方法をとっても、区分したそれぞれの価格が常識的なものであれば認められます。
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①消費税額から建物価格を逆算する
建物価格=消費税額÷10%(8%又は5%)(注)+消費税額
土地価格=土地・建物の合計額-建物価格(注) 1989年(平成元年)4月1日〜1997年(平成9年)3月31日 …… 3% 1997年(平成9年)4月1日〜2014年(平成26年)3月31日 …… 5% 2014年(平成26年)4月1日〜2019年(令和元年)9月30日 …… 8% 2019年(令和元年)10月1日~ ………………………………… 10% -
②標準建築単価による方法
建物価格=建物の標準的な建築価額表(各種資料「建物の標準的な建築価額表」をご参照ください)による価格
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③固定資産税評価額の比率で按分する
ただし、固定資産税評価額は3年に1度の改定のため、価格上昇期や下落期には多少難があります。
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居住用と賃貸用の併用物件、例えば所有するアパートの一室にご自身が居住していてその他を賃貸している場合において、物件全体で発生する経費(固定資産税・減価償却費等)については事業遂行上必然的に発生するもののみについて必要経費として計上が認められていますので、居住用にかかる経費は家事上の支出であり必要経費としては認められません。そのため居住用と賃貸用の床面積の比率などにより按分して、賃貸用にかかる部分についてのみ必要経費として考えます。
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不動産所得の申告
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日本の居住者であっても非居住者(日本に住所がない人)であっても、日本国内で不動産所得などの所得が生じた場合には、確定申告することによって所得税額を計算し、税金を納めます。ただし、非居住者が日本国内にある賃貸物件を貸し付ける場合には、その賃料に対して所得税が源泉徴収されることがあります。
賃借人が個人で、自己又はその親族の居住用のために賃借する以外の場合には、非居住者に対して賃借料を支払う際に、賃借人はその賃借料の20.42%分の所得税を源泉徴収しなければなりません。つまり、賃貸人である非居住者には賃料の79.58%分しか収入として入ってこないことになります。
源泉徴収をした賃借人は、その源泉徴収した所得税を、賃料を支払った月の翌月10日までに税務署に対して納税しなければなりません。この場合、非居住者が確定申告により納めるべき所得税は、日本で発生した所得を合算して計算した年税額から源泉徴収された税額を控除した金額になります。 -
(注)親族とは、配偶者、6親等内の血族及び3親等内の姻族をいいます。
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オンラインでの電子申告・納税システム(e-Tax)を利用するには、「利用者識別番号」の取得、「電子証明書」(注)の取得、e-Taxソフトのダウンロードなど事前の準備が必要となります。詳しくは国税庁ホームページでご確認ください。なお、電子申告・納税を行うことによるメリットは以下のとおりです。
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- 青色申告特別控除額65万円が適用できます( 事業所得及び事業的規模による不動産所得について)。
- 税務署や金融機関に行かなくても、自宅やオフィスから国税に関する手続ができるので、時間を有効活用できます。
- パソコンやスマートフォンで作成した申告書データをそのまま申告することができ、ペーパーレス化により事務の効率化にもなります。
- 税務署の閉庁時間でも時間を気にすることなく申告・納税などができます。
- 電子納税では、現金を持ち歩く必要がありませんので安全です。
- 所得税の確定申告の際、保険料や寄附金の控除証明書などの添付を省略することができます。
(注)税理士が納税者の代わりに電子申告により申告を行う場合、納税者の電子署名は不要となります。
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消費税
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事業者が事業として行う取引は課税対象となりますが、消費者の立場で行う取引は課税の対象となりません。自宅の売却は事業上の取引ではありませんので消費税の課税対象とはなりません。これが店舗や事務所用の建物の売却ですと課税対象となります。
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課税売上、非課税売上になるものは次のとおりです。
・課税売上……店舗賃料事務所賃料駐車場賃料 ・非課税売上……家賃収入地代(一時貸しの場合は課税売上)
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固定資産税(都市計画税)
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小規模住宅用地の軽減は10世帯のアパートを建てることにより、区分所有登記がなされているかどうかにかかわらず1世帯200㎡の10世帯分(200㎡×10世帯=2,000㎡)まで6分の1の評価になります。また、一般住宅用地の軽減は家屋の面積の10倍までですので、50㎡×10世帯×10(5,000㎡)まで3分の1評価となります。したがって、3,000㎡の敷地のうち2,000㎡までは6分の1、超えた1,000㎡が3分の1の評価となります。
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100㎡の住宅1戸だけ建っている場合 1戸あたりの面積50㎡10世帯のアパート 1/6軽減 200㎡ 2,000㎡(200㎡×10戸) 1/3軽減 800㎡ ( 100㎡×10倍=1,000㎡まで 1,000㎡−200㎡ )1,000㎡ ( 50㎡×10戸×10倍=5,000㎡まで 3,000㎡−2,000㎡ )一般 2,000㎡ - 計 3,000㎡ 3,000㎡
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住宅(居住の用に供するもの)を取り壊し、賦課期日である1月1日現在において、住宅を建て替え中の土地で次の要件を満たすものについては、住宅地の軽減を受けることができます。
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- その年の前年度の1月1日において住宅用地であったこと
- 住宅の新築が、建て替え前の住宅の敷地と同一の敷地において行われること
- その年の前年1月1日における建て替え前の住宅の所有者と建て替え後の住宅の所有者が同一であること
- その年の1月1日において、次のいずれかであること
①住宅の新築工事に着手していること
②住宅の新築について、建築基準法の確認済証の交付を受けており、かつ、直ちに新築工事に着手するものであること
③住宅の新築について、確認申請を提出しており、確認済証交付後直ちに新築工事に着手すること
なお、上記の適用を受けるためには所定の手続きが必要となります。
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売却時の税金
譲渡所得と取得費・譲渡費用
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保証債務の履行のために自己の資産を譲渡した場合で、その履行に伴う保証した相手が、返済する能力も資産もなく、求償権の全部又は一部を行使することができないときは、その行使できない部分について譲渡がなかったものとみなされます。
なお、保証債務の履行に伴う求償権の全部や一部を行使することができない場合であっても、その債務の保証をする時において、既に主たる債務者がその債務を返済する資力を喪失しているときは、形式的に債務を保証していても、実質的には債務の引き受けや贈与と認められますので、この特例は適用されません。
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資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難な場合において、強制執行、担保権の実行としての競売、滞納処分、企業担保権の実行手続きや破産手続きによるいわゆる強制換価手続きにより資産の譲渡があった場合には、その資産の譲渡について一定の要件をもとに所得税を課さないこととされています。なお、一定の要件を満たしていても、その資産が棚卸資産や営利を目的として継続的に売買の対象となっている資産である場合の譲渡による所得はこの限りではありません。
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非課税となる取引は次のすべての要件に該当する場合に限ります。
- ①個人が資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難であること
- ②その個人について強制換価手続き(強制執行、担保権の実行としての競売、企業担保権の実行手続、破産手続又は滞納処分)が行われたことにより資産を譲渡しており、その譲渡所得があること
この場合の「資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難であること」とは、債務者の債務超過の状態が著しく、その者の信用、才能等を活用しても、現にその債務の全部を弁済するための資金を調達することができないのみならず、近い将来においても調達することができないと認められる場合のことをいい、これに該当するかどうかは、競売等によって資産を譲渡した場合の現況によって判断することとされています。
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非居住者が不動産を売却した場合の税金
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「居住者」とは、国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人をいい、「居住者」以外の個人が「非居住者」に該当します。住所とは「個人の生活の本拠」をいい、国内に「生活の本拠」があるかどうかは客観的事実によって判断することになっています。居所とは「その人の生活の本拠ではないが、その人が現実に居住している場所」とされています。
海外の支店などに1年以上の予定で勤務する人、海外で1年以上生活すると見込まれる人は出国時から非居住者に該当します。非居住者に該当する場合には、国内源泉所得(所得の源泉が日本国内であるもの)についてのみ、日本で課税されることになります。
(注)総合的な判断を要するケースがあるため、海外にお住まいの方は事前に税務署又は税理士にご確認ください。
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確定申告をしなければならない人が年の中途で出国する場合には、納税管理人を定めて、その旨を税務署に届け出ることになっています。納税管理人を定めた場合にはその年分の確定申告期限は翌年3月15日になりますが、納税管理人を定めないで出国する場合には出国の時までに確定申告をしなければなりません。納税管理人は、納税者本人にかわって確定申告書の提出、税金の納付などの事務手続きをする管理人です。通常両親や親戚、友人、税理士などに依頼します。
※納税管理人の届出がない場合には、所轄税務署長等が届出を求め、納税者がその求めに応じない場合には、所轄税務署長等の方から納税管理人を指定されることがあります。
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住民税は、その年1月1日に住所がある人に、前年中の所得に基づいて課税されるものです。例えば、2024年(令和6年)9月に出国する場合には、2025年(令和7年)1月1日に日本国内に住所がありませんので、2025年(令和7年)度の住民税は2024年(令和6年)中に所得があったとしても課税されないことになります。
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買換え・交換の特例
特定の事業用資産の買換えの特例
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空閑地である土地は、その個人の事業の用に供している資産に該当しません。また運動場、物品置場、駐車場等として利用している土地であっても、特別な施設を設けていない土地は空閑地として扱われます。したがってその土地は更地の状態での賃貸ですから事業用資産とは言えないでしょう。ただし設備のない空地でも、酒屋さんのように業務上必要な物品置場や駐車場等として常時使用しているものは事業用資産となります。
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相続税・贈与税について(事業用不動産の相続税・贈与税)
相続税の仕組みと計算
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売買価額は5,000万円で、買主は契約時に手付金500万円を支払い、引渡時に4,500万円を支払う予定となっております。手付金500万円は被相続人の通帳のなかにあり、路線価などで計算した相続税評価額は4,000万円とします。
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A(1)売主の譲渡税の取扱い
譲渡所得を計算する上で譲渡した日は契約した日又は引渡した日を選択して適用することができます。どちらを選択するのかで課税関係が変わります。
① 引渡日を譲渡日として申告する場合(原則的な考え方)
引渡した日を譲渡した日と考えた場合、相続人が譲渡したと考え相続人が確定申告することとなります。この場合相続後でも相続人のマイホームであれば、居住用財産の3,000万円特別控除を適用することができます。また、この場合には取得費加算の規定も適用することが可能です。
②契約日を譲渡日として申告する場合(特例)
契約した日を譲渡した日と考えた場合、被相続人が譲渡したと考え被相続人の準確定申告で譲渡所得を計算することとなります。この場合、被相続人のマイホームであれば、居住用財産の3,000万円特別控除を適用することができます。また、相続税の計算上譲渡税が債務控除の対象となります。また、被相続人は譲渡の翌年1月1日に存在していないため住民税はかからないこととなります。なお、準確定申告の際に譲渡所得の申告がなかった場合には契約日を譲渡日として申告することはできません。
引渡日を譲渡日とする場合 契約日を譲渡日とする場合 申告者 相続人 被相続人 課税される税目 所得税、住民税 所得税 居住用の特例について 相続人が要件を満たせば適用可 被相続人が要件を満たせば適用可 相続税の債務控除 譲渡税部分は対象とならない 譲渡税部分は対象となる 取得費加算 適用可 適用不可
A(2)当事者が亡くなった場合の相続税の取扱い
①売主が亡くなった場合
相続人は、土地としての評価ではなく譲渡代金の残代金請求権として評価します。
今回のケースは4,500万円の未収入金が相続財産となります。②買主が亡くなった場合
(イ)原則:相続財産として土地の引渡請求権と、債務として残代金支払債務として評価します。
今回のケースは5,000万円の債権と、4,500万円の債務となります。(ロ)特例:相続財産について土地として相続税の申告があった場合には相続税評価額の4,000万円で計算すること ができます。
売主が亡くなった場合 買主が亡くなった場合 相続により取得した財産 預金:500万円
残代金請求権:4,500万円土地引渡請求権:5,000万円
又は土地:4,000万円相続により承継した債務 なし 残代金支払債務:4,500万円
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- 企画・発行
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三井不動産リアルティ株式会社
東京都港区霞が関 3-2-5 霞が関ビルディング
https://www.mf-realty.jp/
- 監修
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東京シティ税理士事務所
税理士 山端 康幸
https://www.tokyocity.co.jp/