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リハウス
ストーリー
Vol.5

Rehouse Story(リハウスストーリー) Vol.5Rehouse Story(リハウスストーリー) Vol.5

Rehouse Story Vol.5

春一番が吹き、草花が一斉に芽吹きはじめた4月。80代のおばあさんが、娘さんに付き添われて来店されました。おばあさんは物腰の柔らかな方で、私に優しい声で「こんにちは。どうもお世話になります」とにっこり笑いかけてくださいました。「あの…母が住むマンションを、探していただけますか?」おばあさんのごあいさつから一呼吸おいて、 娘さんは来店のご用件をお話くださいました。

長年連れ添っていたおじいさんが、先の冬に亡くなられたということでした。

そこで、今まではおじいさんと二人で一軒家に暮らしていたのですが、そこを手放して娘さんの住むマンションのそばに引っ越すことにしたのだそうです。「母が住んでいる地域は雪が多くて…。今までは父が雪かきをしてくれていたんですけどね。だから、私のうちのそばで、また冬が来る前にマンション暮らしをしてもらえたらって」。娘さんは気遣うように、隣のおばあさんへ目をやりました。おばあさんは「雪かき以外はまだ何でもできますから。なるべく子ども達の世話にはならずにと思っています。でも心配してくれるので、近くには引っ越そうかと、ね」。娘さんの視線をふんわり受け止めて、おばあさんはまた、にっこり笑いました。私は「お手伝いさせていただきます!」とごあいさつ。一緒にマンション探しをスタートさせました。
「あら、あなた孫と年が近いのね。まぁまぁそうですか!」マンション物件の見学でお会いするうちに、私とおばあさんは少しずつ、お互いの話をするようになりました。私は元々人と話すのが好きで、もちろん失礼のないようにとは気をつけますが、お客様ともすぐに仲良くなってしまいます。おばあさんも、私の会話の返しがいちいち面白いと言って、よく声をあげて笑っていました。「あなたと一緒にマンションを見て回るの楽しいわ。あ〜おかしい」。そして少しずつ、ご自分の心の内もお話してくださるようになりました。「おじいさんがいたときは、何でも二人で一緒だったわ。寂しいわね、やっぱり。でも娘もそばにいてくれるし、いつまでもしょげてられないから」。私はそんなおばあさんを見て、 「きっとおじいさんは、こんな優しいおばあさんと一緒にいられて、幸せだったんだろうな」と想像していました。

Rehouse Story Vol.5 イメージ1

さて、ひと通りの物件を巡り、数カ月。

希望の条件に一番合ったマンションを見つけることができました。おばあさんのご希望は「娘さんのお宅から近いこと」「広すぎず、狭すぎず」「バリアフリー」の三点。しかし「ここもなかなか良いんだけど、本当にここに決めちゃっていいのかって思うのよね」と、おばあさんは迷われていました。雪が降る前に購入するという期限はありましたが、あわてて購入して後悔だけは、してほしくありません。「焦るのだけは、やめましょう。納得できるまで、いくらでもお手伝いしますから」。そんなお話をしてから、数日後。おばあさんから突然「やっぱりあのマンションにします」とご連絡があったのです。
「いざ買うっていう時に、何の文句もないマンションだったけど、決めていいのか不安になっちゃってね。だってこういう時はいつも、おじいさんと一緒に決めていたから」。お会いすると、おばあさんは娘さんと共に迎えてくださり、晴れやかな表情でそう言いました。「でもね、昨日おじいさんが夢に出てきてくれたの。にこにこして。それで『あ〜、おじいさんも賛成してくれてるんだ!』ってすっかり自信がついちゃって。おかしいでしょ、ふふふ」。そういって、先日とはうって変わって「もうここに決めました!」と、おばあさんは終始明るく話されました。

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長く、仲良く連れ添ったご夫婦の愛情って、どれほど深いものなのだろう。

私はジーンとして「おじいさんのおかげですね」と言いました。おばあさんはにこにこしながら「ありがとう。あなたは優しいのね。私、あなたのファンなの。今住んでいる土地を売るのも、あなたにお願いしますからね!」突然ファンと言われて、私は急に、ものすごく照れくさくなってしまいました。続けて横にいた娘さんからも「本当にほっとしました。ありがとうございました」とお礼を言われてしまいました。あの、お礼はおじいさんに…と言いそうになりましたが、コホン。ここはきちんと。「こちらこそ、ありがとうございます」と、私は深々とお辞儀をしました。もちろん、心の中で、おじいさんにも。

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